2013年04月22日

「大神社展」レポート−仏像ファンも満足。神像・神宝・古代遺跡のフルコース!

上野・東京国立博物館で開催中の「国宝・大神社展」内覧会に行ってきました。
(写真は特別に許可を得て撮影。会期中は撮影不可です)
大神社展

数々の貴重な祭祀遺物、神宝、神像が集まってます。
各地の神社のみなさんの、この展示にかける意気込みを感じます。「ええい、これも付けちゃうっ!」って、年末のアメ横的な勢い。今ごろ各地の神社はさびしい状況になってるんじゃないでしょうか・・・だいじょうぶですか・・・

そんな中、展示の後半は神像のオンパレード。仏像好きのみなさんも大満足できると思います。

主役は京都・松尾大社の三神像。老年の男神は星一徹並みのきびしい顔。女神はどっしりして老舗の女将という感じ。威厳があります。

大神社展
正面の姿はネットに出てるので検索してくださいね

これらは最古級の像で、平安初期の仏像に似た重々しい表現が特徴。この時期特有の衣文表現「翻派式(ほんぱしき)衣文」がみられる像もあります。つまり仏像的表現をそのまま流用してるんですね。
大神社展
衣文の彫りが翻派式。仏像とちがうのは下半身

それが、だんだんと神像ならではの表現に変わってきます。具体的にいうと、体つきがだんだん単純化されて、座った脚の部分なんかほとんど省略されちゃう。
なまじ精密に彫られると人間臭くなるので、こんなふうに寸詰まりな感じのほうが、なんか得体の知れない存在という印象になって、ちょっと怖くて、かえって霊性を感じるというか、じつに神像らしく見えるんですよね。

大神社展
決して「制作途中」じゃなく、これが神像スタイルなんですね〜ステキです〜♪

あと、京都の仏像スポット・東寺に伝わる神像も見どころ。大きい!
そして、目元に注目。
つりあがった形に彫刻された眼ですが、その形を無視(?)して墨線でちょっとタレ目に描いてあるのを発見しました!
大神社展
彫ったところと墨線が明らかに異なってます

平安前期、仏像は非常に厳しい表情で造られました(ex.神護寺の薬師如来)。いっぽうこの像は、どこか柔和でおっとりした眼になってます。
制作者は、仏らしい眼と、神らしい眼の表現に明確なちがいを表現したかったんでしょうか。ただし、ほかの神像はわりと厳しい目つきが多いので、実際どこまで区別してたのか、わかりませんが・・・。


展示の前半もおもしろいです!
写真は、日本の古代祭祀の原点ともいえる、奈良の三輪山・大神(おおみわ)神社の「山ノ神遺跡」出土品。古代では大きな岩(磐座いわくら)に神が降りるとされ、その周辺で祭りが行われた。写真の遺物は、まさにその磐座周辺で出土したものだそうです。古墳時代ですよ。いにしえの世界へと想像がふくらみます。まさに古代史ロマン!
 
大神社展
大神社展
子持勾玉と祭祀用のミニチュア土器

あとは、鹿島神宮に伝わる神剣もすごいです。長さ3mくらいありそうなばかでっかい直刀。しかも平安時代。見てるだけで背筋が寒くなりますね。

大神社展
有名な国宝・七支刀もお目見え。ホントに出し惜しみしない展示ですね

そんなわけで、神の威厳に向き合ってきた人たちの情熱を感じる展示。仏像だけでは見えてこない、日本の原点みたいなものが、ここで感じられます。

「国宝・大神社展」
平成25(2013)年4月9日(火) 〜 6月2日(日)
東京国立博物館・平成館にて


【お知らせ】
宮澤やすみ同行 一泊二日・神社、仏像ツアー
伊勢と山の辺の道 女神がたどった「神仏ルート」を歩く
●式年遷宮直前の伊勢神宮(外宮・内宮)を参拝
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●伊勢の祭神・天照大神は奈良にいた?伝説の「元伊勢」・桧原神社
●古代日本の原点・三輪山の大神神社で伊勢と出雲の神が交わる
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催行決定!まだ若干空席ございます。今のうちに!
問合せ:クラブツーリズム概EL.03-5323-5588(コース番号C3131とお伝えください)またはWEBサイト




posted by 宮澤やすみ at 15:17 | Comment(0) | 美術展・展覧会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月09日

「日本仏像地図」ツアー・千葉編

この春から、仕事でやってる仏像ツアーの報告をちゃんとアップしてこうと思います。#必ずできるかわかんないけど・・・できる範囲で・・・

はい、この写真。仁王さんの股をくぐっております。
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いーんすか、こんなことして…

今年の2月からは、「日本仏像地図」と題して仏像めぐりバスツアーを案内してます。
初回が横浜・龍華寺の天平仏。今回は千葉編。上の写真は松戸馬橋の万満寺。
「正月の三が日間と春・秋の大祭時に仁王尊がご開帳」ということですが、ご開帳どころじゃないですよ。「股くぐり」ですよ。
ふつう、国の重要文化財といったら手を触れるのさえ厳禁。それなのに、いいんですかね。
そんな思いもよぎりつつ、気持ち的にはやっちゃえやっちゃえということで、お客さんと一緒に並んで股くぐってきました。

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股をくぐって願掛け完了

歌舞伎の「助六」でもありますように、股をくぐるという行為は相手に屈辱を与えます。中国故事の韓信や忠臣蔵の神崎与五郎のエピソードでは、チンピラが股くぐれといちゃもんつけてきて、でも大志を遂げるためにそこは抵抗せず股をくぐって、後に偉人となった、なんて話があるそうです。

万満寺の場合は、仁王の股をくぐることで「仁王リスペクト」を表現しているわけですね。

さて、その後は佐原の荘厳寺へ。身の丈3mの大きな十一面観音!
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頭上の小面はとれちゃってます

香取神宮の神宮寺のご本尊だったものが廃仏毀釈で捨てられ、ここに安置されたそうです。
これ、奈良の聖林寺の十一面さんとほとんど同じパターンですよ。
荘厳寺収蔵庫の横には「廃仏毀釈関係年表」が掲げてありました。あの時代、全国的にホント大変なことになってたんですね。

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お客さんと仏像談義

最後は九十九里浜近くの飯尾寺へ。「飯尾の不動さん」と呼ばれる不動明王。

お不動さんは右手に剣、左手に羂索(けんさく)という縄を持ってます。
ふつう、この羂索は、仏法を信じないものをなげなわみたいに絡め取って引きずり込むという(強引な)ひみつ道具なんですが、ここ飯尾寺の場合は、海で遭難した人をこの羂索で引き揚げてくれるという信仰があり、地元漁師から厚く信仰されたそうです。

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こんな急階段を上り下り

撮影はNGでしたが、ヒノキの寄木造で、髪の毛はバックに流し、両目を開いて二本の牙はそろって上から下へ出す、どっしり座った形もあって、京都・東寺にある弘法大師伝来の不動明王像のスタイルにのっとっています。鎌倉期らしい引き締まってりりしい感じはありますが。

ちなみにご住職はケーシー高峰そっくりの風貌で、一見怖そうだけど話が上手で、さりげない気遣いがありがたかったです。お客さんも喜んでいました。

この後は、東京・青梅、埼玉へと出かけます。
詳細はこちらをどうぞ↓
クラブツーリズム鰍フ宮澤やすみ同行仏像ツアー





posted by 宮澤やすみ at 00:44 | Comment(0) | 仏像ネタなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする