「観音の里の祈りとくらし展」と題して、東京藝術大学美術館で3/21からやるそうです。
湖北というのは、琵琶湖の東北部、いわゆる「奥琵琶湖」という位置にあるんですけど、そこは観音さんがいっぱい祀られていて、仏像ファンの間では「観音の里」として非常に有名。
あの仏像界の藤原紀香と言われる(ゴメンぼくが言ってるだけです)、艶めかしいプロポーションの向源寺・十一面観音(国宝)を筆頭に、麗しい姿の観音さんがたくさん。
今日の話では、文化財指定されている観音像の数は、滋賀県が全国1位なんだそう。
この日吉神社(赤後寺:しゃくごじ)の像なんかも超有名で、ぼくがツアーで会うおばちゃんたちが湖北の話をするときは、必ず「赤後寺のあの千手さん!よかったわぁ〜(うっとり)」と話してくれるんだよね。

重要文化財・千手観音菩薩立像 平安時代8世紀末〜9世紀 日吉神社(赤後寺)蔵(長浜市高月町唐川)
腕が取れてしまった姿がまたイイ。人々を守るために、ロケットパンチを打ち尽くして、満身創痍でも凛として立ち尽くす姿が、じつにドラマチックなのです。
こうした重要文化財の像ですが、京都奈良の仏像と異なるのは、一般の、村人町人さんたちによって守られているということ。
発表会にも、地元の管理役の人がいらしてました。

「観音は家族のよう」と住民の津田さん
ここの観音さんは、地元密着型なんですよね。
京都奈良の仏像は、巨大寺院による国家鎮護、朝廷の政治と深く関わってきたんですが、ここの観音さんはぼくら一般人が親しみやすい。
現地での拝観も、電話して地元のおばあちゃんに扉を開けてもらう形ですからね。地元のふれあい、旅の醍醐味ですね。
こちらの観音さんは、通称「腹帯観音」といって、安産のご利益があるとされました。

十一面観音菩薩立像 平安時代12世紀 大浦観音堂蔵(長浜市西浅井町大浦)
地元の人の愛情で、こんなにきれいな冠までつけられて幸せそうに見えます。
おなかの帯に絵や願文が刷られてますが、その版木は元禄時代のものを今も大切に使ってるんだって!
これまで仏像展というと、天皇だの朝廷だの藤原氏だの、殿上人の世界がメインだったんですけど、今回は視点がぼくらに近いわけです。
それでいて、南都(奈良)仏師の影響を受けた、高度で本格的な造形だし、時代も奈良平安期にさかのぼる貴重な古仏だという点がすごいのです。
これだけ貴重な古仏が、村のお堂にふつうに存在していて、現役で拝まれてるんですからね。
そんなわけで、見ごたえある展示になりそうです。期待しましょう。
ここで告知なんですけど、私が同行する仏像ツアーもあるので、ぜひ一緒に行きませんか?
比較対象として都内の十一面観音を拝観して(これがまたすごい。高さ10Mの一木造り!)、事前講座を聞いてからいざ展示へ、というツアーです。
ただ見に行くより、より深く展示内容がわかりますよ!
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仏像ナビゲーター宮澤やすみ講師同行!
【都内の仏像ウォッチングと 「観音の里の祈りとくらし」展】
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「東京芸術大学美術館のサイト