人形町大観音寺のご本尊(鉄造観音菩薩)は、震災後5/17まで特別開扉しています。
5/1より住職が毎日2回の護摩修行をするので、火を絶やさぬためにも護摩木の奉納を呼びかけています。本日のNHK放送でお伝えできませんでしたが、この件ぜひ広めていただきご協力ください!
「ご本尊がちょっとすごいことになってる」
と電話をもらい、駆け付けたのはお江戸下町・日本橋人形町の大観音寺(おおがんのんじ)。
日ごろ「やすみくらぶ」や取材でお世話になっているお寺です。
ここのご本尊は、大きな観音菩薩の頭部。
ぼくが著書で「マジンガーZみたい!」と書いた、鎌倉期の貴重な鉄造仏です。
ふだんは秘仏で、美しいお前立のうしろにど〜んと安置されてます。写真こちら。
震災後ご住職に電話すると、冒頭の言葉をいただきさっそく伺いました。
観てみると、この大きくて重たいであろう仏頭が、向きを変えて斜め方向を見ているじゃないですか。
お前立とかほかの仏像は、全く動かなかったのに、ですよ。
こちらの写真で比較してください。

左が2009年撮影。右が2011年震災後撮影。
正面を向いていたのが少し右を向いてしまった。
中心線はずれず、きれいに回転している。
3月11日、東京都心もかなり揺れました。ウチも食器棚がくずれ、冷蔵庫がドタドタ歩き回りました。
その時、この観音さんも動いたんですね。
さらに、調べてみると向きを変えた顔が、ほぼ真東の方角を向いているそうです。
「さすがに何か意味を考えざるを得ないね」
とご住職。
ただ事ではない、と直感したご住職は、熟考の末「毎月17日のみのご開帳」という固いルールを初めて破って、厨子の扉を開けたそうです。
ただし、ご住職の心配事はほかにもありました。
これがマスコミに取り上げられたりしたら、人々がどう思うだろうか。
今、さまざまな情報が飛び交い、人々は情報の渦にのみこまれて過敏になっています。そこへこうしたニュースがあると、きっといつも以上に過敏に反応する人もいることでしょう。
実物に対峙すると、たしかにいろんな思いがよぎります。
日出る東を向いて、日本の再起を祈っているじゃないか、とか
あまりの事態に、観音様も顔をそむけてしまったのか、とか
きっと人それぞれの解釈があるでしょうね。それが飛び交って噂が噂を呼んで、騒ぎになって、という恐れは確かにありました。
だから、先月までこの情報は内緒にしておいたのですが、
4月8日の「人形町花祭り」で一般公開されることに。
こちらも情報に過敏になっていましたが、次第に自粛ムードに「?」を投げかける論調も見え、街は少しずつ平静を取り戻してきたようです。もう春ですもんね。
だからこの情報も出しました。
あまり過剰に騒ぎ立てることなく、心静かに拝んでみてはいかがでしょうか。

東を向いて、何を思う
(写真は特別に許可をいただいて撮影しました。普段は撮影禁止です)
(本尊開帳は、花祭りなど特別な時を除き基本的に毎月17日です)
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お参りしてきました。
ご開帳されていて、
ご本尊が奥から心配そうにこちらを見ていました
(のように見えました)。