2015年02月27日

「ルーヴル美術館展」で見たヒロイン

国立新美術館で開催されている「ルーヴル美術館展」取材してきました。
(写真は報道内覧会で許可を得て撮影。ふだんは撮影禁止です)

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パリのルーヴル美術館は考古から近現代までものすごい量の所蔵品がありますが、今回は「風俗画」が主題だそうで、貴族から庶民、ホームレスまであらゆる人たちの日常を描いた絵画作品がならびます(冒頭に古代ギリシャの壺があるけど、そこに描かれるのも日常風景)。

ぼくが好きなフランドル絵画に近い路線もあり、《両替商とその妻》(クエンティン・マセイス)とかブリューゲルの《物乞い達》なんかが気になってました。

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しかし、現場で一番印象に残ったのは、可憐な少女を描いた《割れた水瓶》でした。

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ジャン=バティスト・グルーズ《割れた水瓶》1771年
Photo©RMN-Grand Palais(musée du Louvre)/Michel Urtado/ distributed by AMF - DNPartcom


まあ最初はね、ピンクの乳首が見えちゃってるソフトエロ路線に注目しちゃったんですけどね、男子の本能なんでスミマセンね。

乱れた着衣、右手にもつ割れた水瓶、これは乱暴された直後の様子。処女喪失の現場であります。
時代はフランス革命直前、フランス貴族文化の爛熟期。かなり奔放な恋愛模様が繰り広げられていたそうです。
そんな大人たちの風潮で、こうなっちゃったんでしょうね。時代ですね。
解説では、涙をうかべた目とかそういう言葉がありましたが、そんなふうには見えなかったです。ことさら哀しみや絶望感などを煽った感じはありませんでした。ただ、透き通るような白い肌、あどけない少女の顔、幼さが残る乳房という純粋に美しいものが、今この時大切なものを失ったんだよ、あなたどう思う?と鑑賞者に投げかけられる感じがします。見る人によって、とくに男女によって、感想が変わってくるように思います。

ほかにも、有名なフェルメールの作品や、ティツィアーノの《鏡の前の女》(背後の鏡に注目!)も見ごたえあります。

で、買ったグッズはやっぱりこの《割れた水瓶》の女の子。しかしバラをあしらったデザインが女子力100%でね(笑)どこで使おうかな。
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【ルーヴル美術館展】
日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄
2015年2月21日(土)〜6月1日(月)
六本木・国立新美術館 企画展示室1E
http://www.ntv.co.jp/louvre2015/
 
 
 
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2014年11月08日

幅広いジャンルのお宝がいっぱい「日本国宝展」

ちょっと遅くなりましたが、「日本国宝展」の報道内覧会に行ってきたのでその報告です。
(写真は特別な許可を得て撮影。会期中は撮影禁止です)

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いきなり法隆寺の玉虫厨子から始まって、どこを向いても国宝、国宝!
ぜいたくすぎる展示内容でしたよ。

仏像がいるのは最終の大きな展示室。私のような古代好きはやはり法隆寺金堂の広目天に釘づけ。こうして見ると意外とデカい!
ほかにも、慶派好きな方には浄瑠璃寺の広目天、安倍文殊院の善財童子クンなどいますし、平安の雅なのが好きなら三千院の菩薩たちなどがお出迎え。「どんな趣味の方にも応えます」といった感じのラインナップ。

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それはべつに仏像に限らず、ほんとにあらゆるジャンルの国宝がある。だから、ここでは自分の趣味じゃないもの、これまでノータッチだった分野もつまみ食い(言葉は悪いけど)してみる良い機会だと思います。

ぼくはお茶の世界もちょっと好きなので、大井戸茶碗「喜左衛門」を間近に見られたのがよかった。あの堂々たる姿はたまらんです。

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地獄草子のすさまじい世界。信貴山縁起絵巻に出てる天平期の東大寺大仏の姿も注目。
銅鐸の表面に描かれる古代の生活のようす。沖ノ島祭祀遺跡の鏡に彫られた謎の幾何学文様。
琉球王家に伝わる資料に遣欧使節ゆかりの十字架・・・あ〜もういそがしい。

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展示替えもあり、このあとはTVでもさんざん報道されてる人気者・土偶さんたちが5体勢ぞろいしますよ。
(写真NGなので、現場でご覧ください)

お土産は土偶グッズが充実。こないだこれをツイートしたら爆発的なリツイートが。みんな好きなんだね。

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「土偶クッション」のほか、ぬいぐるみやお菓子もいろいろ


「日本国宝展」WEBサイト
http://kokuhou2014.jp/


【お知らせ】
宮澤やすみと行く 一泊二日・南山城仏像ツアー

※京都駅集合・解散なので前後に自由旅を入れて好きにやれます
京都駅集合で楽ちん 南山城の美仏探訪
●○●仏像ファン必見の名仏揃い! 南山城を堪能●○●
2日目はジャンボタクシーを利用し、大型観光バスでは参拝困難な
山里に佇む寺院を中心にご案内。

<1日目:バスでご案内>
■観音寺:国宝・十一面観音像…若々しい表現の天平仏
■寿宝寺:重文・十一面千手観音像…実際に千本の手を持つ貴重な作例
■蟹満寺:国宝・釈迦如来像…白鳳時代の丈六仏
■大智寺:重文・文殊菩薩像…唐風の衣をまとう美男子

<2日目:ジャンボタクシーでご案内>
■海住山寺:重文・十一面観音像…救済力を示す不思議な姿
■現光寺:重文・十一面観音像…叡智に富む表情
■笠置寺:十一面観音像…聖地に佇むまばゆい姿
催行決定!まだ若干空席ございます。今のうちに!

問合せ:クラブツーリズム概EL.03-5323-5588(コース番号C3133とお伝えください)またはWEBサイト
 
 
 
 
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2014年04月24日

飛鳥白鳳の美!古墳と寺の謎−「特別展 キトラ古墳壁画」レポート−

東博で開催の「特別展 キトラ古墳壁画」報道内覧会へ行ってきました。
(写真は特別な許可を得て撮影。会期中は撮影不可です)

かねてよりテレビや新聞雑誌でも話題ですが、やはり実物の存在感はケタ違いでしたね〜。これは生で見たほうがいいと思います!

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はっきりとは言ってないけど、都内展示は実質的にこれが最後みたいです

壁画の詳細と、キトラ古墳そのものの疑問も解けたのでそのへん中心にレポートします!

1.現代人をも魅了する「フニャ線」

キトラ古墳の石棺内部は漆喰が塗られてその上に壁画が描かれています。
南面に朱雀、西面に白虎、北面に玄武、東面に青竜という「四神」が配され、その配下に十二支が描かれる。
天井面には星図が描かれ、当時の宇宙観と死者への弔いのかたちがわかります。

ま、そういった説明は現場で丁寧になされてるので、ここではさらっと流しますね。

これらの壁画は、7世紀末から8世紀初頭というから、国内最古級の絵画と言えます。
同時代の絵画は、おとなりの高松塚古墳壁画や、法隆寺金堂壁画がある。大学で東洋美術史を学んだとき、この時代の絵画の特徴は、「鉄線描」と言われる線にあると習いました。太さの抑揚がない、硬質な線による描き方です。
参考:「飛天」奈良文化財研究所・飛鳥資料館

そこいくと、キトラ古墳の画は少しちがう。白虎の絵なんかよーく見ると、ふにゃっとした線が見られます。それがまた人間的な温かみを感じて、親しみがもてますね。

博多に行って、バリカタの豚骨ラーメンもいいけど、じつはフニャ麺のうどんがおいしい。そんな感じ伝わるでしょうか。つたわれぇ〜(祈)

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白虎図。狭い石室で、画工さんが汗水たらし一生懸命描いてたのかと思うとグッときます!


2.東西比較! 石棺壁画 vs フレスコ画

また、漆喰に描く壁画の技法で私たちになじみあるのが「フレスコ画」ではないかと。
フレスコ画って、ほら、これですよ。見たことあるでしょ。

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あのスペインのおばさんのやつ

同じ壁画ですが、東西で技法が異なるそうです。
●フレスコ画:
 漆喰が乾かないうちに絵具(水性)で描き、漆喰に染み込ませる。
●キトラ古墳壁画:
 漆喰が乾いてから顔料絵具で描く。

つまり、インクジェットプリンタの「染料タイプ」と「顔料タイプ」のちがい、みたいな感じですかね。
フレスコ画は絵具が壁に染み込むことで堅牢性が高まりますが、古墳壁画はやはりもろそうな感じではあります。

さらに、キトラ古墳壁画のデッサン法にも注目。
まず下絵を紙に描き、赤い紙をはさんで壁にあてがい、上からなぞります。ちょうどカーボン紙で写し取るのと同じ要領で、壁面に下絵ができるわけ。
今回の展示室では、見やすいようにレプリカが置いてあるので、じっくり見てください。輪郭線に沿ってなぞった跡が見られます。下絵をなぞった時にできた溝だそうです。

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精巧なレプリカで細部がわかる

3.古い古墳、新しい古墳?

さて、話題のキトラ古墳ですが、私は前から疑問がありました。
先週は、大阪・河内の古墳群を歩いてきたのですが、応神天皇陵とか、奈良の箸墓古墳とか、ああいう代表的な古墳を見ると、こんな感じですよね。


古市古墳群の地図(「百舌鳥・古市古墳群ホームページ」から引用)

これを見ると、それぞれの古墳の向きがバラバラ。つまり方角は気にせず造られた。
そこいくと、キトラ古墳は、ご存じのとおり、東西南北きっちり調整してあって、方角が重要視されている。

同じ古墳でも、ぜんぜん違いますよね。

そのへんを、キトラ古墳事業に携わる建石徹さん(文化庁古墳壁画室)に聞いてみると、いたってシンプルなお答えが返ってきました。

「(キトラ古墳は)古墳時代の古墳とはちがうんです」

言われてみれば、そうですよね。頭でわかっていたつもりだけど、これで実感がわきました。古墳は、古墳時代だけのものではないってこと。
古代日本、弥生時代から古墳時代を経て、仏教が入ってきて蘇我馬子だ聖徳太子だって時代があって日本がどんどん変わってくんだけど、ずっと古墳は造られていた。

キトラ古墳は、そうした時代の最末期、奈良に藤原京という都が建設された時代(白鳳時代)に当たる。聖徳太子が亡くなって70年以上経ってます。
そのころは遣隋使や遣唐使で中国の文化思想が入っていて、中国の陰陽五行説が時代のトレンドだった。これが風水みたいに方角をすごく重視するので、古墳の作りもこれに倣ったというわけ。

ばかでかい古墳造りを規制する「薄葬令」が出たのが大化2年(646)。そのころはもう、墳丘の威容で権力を示す必要がなくなり、こぢんまりした「モダン古墳」が出てきたようです。

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キトラ古墳はこんな形(円墳)だったそうです

ぼくが子供のころからあこがれた飛鳥の世界は、仏教文化が始まった土地ですが、埋葬にはやっぱり「古墳」が必要だった。

現代人の感覚だと、「お寺=墓地」と思いがちです。
ぼくも子供のころから、「なんでお寺を造った蘇我馬子が寺じゃなくて石舞台古墳に入ってるの?」と、じつに素朴な疑問をもっていました。
その答えがわかったのは大人になってから。お寺はそもそも、祈願所であり、学問機関であって、お墓は無かった(今も奈良あたりの古寺などはそうですね)。
むしろ、重大な穢れである「死」は、遠ざけるべきものだった。神道と同じ「穢れ」を避ける意識ですね。

だから、蘇我馬子さんはお寺を造ったけど死んだら古墳に入ったんですね。

キトラ古墳は、すでに仏教文化華やかな時代に造られたお墓で、都である藤原京の真南に位置しています。その位置関係から、朝廷に関連する重要な人が葬られていただろうとのこと。ここでも風水(陰陽五行説)的な考え方が見受けられますね。

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展示室入口の航空写真。これがイメージを掻き立てます


そんなわけで、今回の展示では、時代が飛鳥から奈良に移り変わるころの、白鳳時代のようすを想像しながら、壁画に向き合うと、より実感が湧いてくるんじゃないでしょうか。

最後に、「馬子と石舞台」というタイトルの一曲をどうぞ。
 ♪彼もまた 古墳に眠る・・・
子供の頃の素朴な疑問を歌にした、オリジナルの古代史ロックであります!


長文おつきあいありがとうございました。


「特別展 キトラ古墳壁画」
 2014年4月22日(火)〜5月18日(日)
 東京国立博物館 本館 特別5室
 http://kitora2014.jp
 
 
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2014年04月09日

結局ルネサンスって何?「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館展」レポート

渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで、「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」が開催されています。
(写真は報道内覧会で特別に許可を得て撮影。会期中は撮影禁止です)

ミラノの貴族、ポルディ・ペッツォーリ家はたくさんの美術品を所蔵してるんですけど、ミラノ市内の邸宅が今では美術館になっています(ミラノ中心部にあって、スカラ座やガレリアもすぐ。旅のとき知ってれば行ったのにな〜)。いわゆるプライベート・ミュージアムというやつですね。
そのコレクションが東京に集まりました(その後大阪へ)。

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部屋の写真を交えて邸宅にいるような気分に

今回は、14世紀から19世紀までの作品が部屋毎に展示されていて、わかりやすくヨーロッパ美術を概観できる流れになっていました。

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展示の目玉「貴婦人の肖像」の横であいさつされている、美術館館長アンナリーザ・ザンニさん


ボッティチェリと運慶

いろいろ見どころありますけど、まずはボッティチェリの晩年の作「死せるキリストへの哀悼」にご注目。
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ちゃんとした画像は公式サイトにあります。でも実物を感じるのがいいですよ

ボッティチェリというと、森の中でカミ様たちが集まってる「プリマヴェーラ(春)」とか、ホタテの上に裸の女が立ってる「ヴィーナスの誕生」とかが有名ですけど、今回の作品には、あんなに派手で明るい感じとはちがう、重厚で深刻な感じがただよってます。
この時代、ボッティチェリさんはメディチ家から離れて、ミラノのカリスマ修道士さんにかなり感化されてキリスト教にかなり深く入れ込んでいたんだそうです。

ぼくのブログは、仏像好きな方が多く読まれていると思うのですが、たとえて言うと、運慶の晩年作「無著(むちゃく)」みたいなんですよね(たとえがわかりづらくてゴメン)
ようするに、どちらも若いころは新進気鋭の作家として新様式を打ち出してきたけど、次第に老境に達して、派手さは無いけど深い精神性に裏打ちされた深みといいますか、枯れた味わいが出て、作風にもそれが表れてくるという感じ。

ボッティチェリはルネサンス初期の代表的画家。ルネサンス美術というのは、「古代の復興」と「人間中心主義」ということだそうです。
つまり、古代ギリシャ、ローマのころは、人体こそ究極の美、と捉えていたようで、写実的な人体造形が主流だった。その美意識を復興したのがルネサンス。今回話題の「貴婦人の肖像」も、真横からの肖像画は古代ローマの貨幣とかでよく描かれた題材です。

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「貴婦人の肖像」ピエロ・デル・ポッライウォーロ1470年頃

だから、描く題材の選び方も変わります。それまではマリア像や聖人などキリスト教一辺倒だったのが、古代の神話世界を題材に描くことも増えてきたわけです。

ボッティチェリさんは、ヴィーナスなど古代神話をテーマに、キリスト教以外の世界を描いて、ルネサンス初期の美術シーンを引っ張ってきた。
それってきっと、絵画はキリスト教世界を描くものだ!という「世の常識」から外れたアウトローでパンクな立場だったのかもしれない(笑)。だけどそれが、最後の最後でコテコテのキリスト教絵画にたどり着いちゃった。
彼もいろんな経験を経て、丸くなったんですかね(それとも固くなったのか)。

まあ実際のところは、古代神話も描きつつキリスト教絵画も同時進行で仕事してたんでしょうけど、作風の重さは変わってますよね。

ぼくは日頃、仏像を通して宗教美術に接しているのですが、作家と宗教の関係性というのがちょっと気になるもので、この件でいろいろ思いがめぐるのであります。

ぼくは、ボッティチェリを見ながら、運慶のことを考えていたのでした。
運慶は仏像界の「ルネサンス」である、と日頃の宮澤やすみ講座やツアーで申し上げてますけど、運慶も古典(=天平)の復興が目的でしたからね。あと人体の肉付きを仏像造りに取り入れ、写実的な造形を作ったこともあります。
彼も晩年には僧として高い位を得ていますが、若い血気盛んなころはどういう気持ちで仏像を彫ってたんでしょうかね。


中世の魅力爆発!

ルネサンスのことさんざん書きましたけど、個人的な趣味は、ルネサンス以前の中世キリスト教美術が大好きなのであります!
前の記事では「貴婦人と一角獣展」のこと書いたけど、あれもよかった!

キリスト教(カトリック)の強大な力のもと、ヘタウマなマンガみたいな聖人を描いていた中世の美術界(笑)。時代は魔女裁判にペストに拷問。あのダークな世界に惹かれちゃうんですなあ。

今回、そうした時代の作品もありました。

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「三連祭壇画」ベルナルド・ダッディ 1340-1350年
周囲に受胎告知、キリスト降誕、受難のシーンが描かれる


展示品は、さすが貴族の美意識か、お顔立ちがきれい。でもイタリアやスイスの古い教会に行くと、時代を経てホゲホゲに剥げかけた聖人の壁画や、ブスッとした顔のマリアさんがいますが、それがたまらなくイイ!
べつに写実とか上手な絵だけが価値じゃないからね。

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あと今回の展示では、ヨーロッパの甲冑もありました。これもゾクゾクします。


そんなわけで、ヨーロッパ美術の基本を押さえた、西洋美術の初心者でも充分楽しめる展示になっています。
仏像好きな人にもぜひ行ってほしいです。ボッティチェリより運慶のほうが300年くらい古いから、時代を差し引いて比較すると面白いんじゃないかと。
「この作品、仏像で言うと三十三間堂のアレかな・・・」みたいに置き換えて比較してみるのです。

ほかにもラファエロの初期作や、ダ・ヴィンチの彫像作品(断片)もあるし、日本人は本当にルネサンスがお好きなんですね、と思う展示です。
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「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館所蔵 華麗なる貴族コレクション展」
 4/4〜5/25 BUNKAMURAザ・ミュージアム
 5/31〜7/21 あべのハルカス美術館にて
 http://www.poldi2014.com/


最後に、今回の私的一番のお気に入りはこれ。タイトルは「聖女」だけど、モデルは近所の女の子でしょ〜(笑)
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「聖女の肖像」フランチェスコ・ボンシニョーリ 1505-1510年

 
最後の最後に、夏にこんな講座やらせていただきます。よかったら。

■7月27日 西洋キリスト教美術の魅力〜仏教美術との比較から〜
新宿クラブツーリズムにて




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2014年01月24日

奥びわ湖・湖北の観音が東京に「観音の祈りとくらし展」発表

この春、東京に湖北の仏像がやってくるというので、記者発表会に行ってきました。
「観音の里の祈りとくらし展」と題して、東京藝術大学美術館で3/21からやるそうです。

湖北というのは、琵琶湖の東北部、いわゆる「奥琵琶湖」という位置にあるんですけど、そこは観音さんがいっぱい祀られていて、仏像ファンの間では「観音の里」として非常に有名。

あの仏像界の藤原紀香と言われる(ゴメンぼくが言ってるだけです)、艶めかしいプロポーションの向源寺・十一面観音(国宝)を筆頭に、麗しい姿の観音さんがたくさん。
今日の話では、文化財指定されている観音像の数は、滋賀県が全国1位なんだそう。

この日吉神社(赤後寺:しゃくごじ)の像なんかも超有名で、ぼくがツアーで会うおばちゃんたちが湖北の話をするときは、必ず「赤後寺のあの千手さん!よかったわぁ〜(うっとり)」と話してくれるんだよね。

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重要文化財・千手観音菩薩立像 平安時代8世紀末〜9世紀 日吉神社(赤後寺)蔵(長浜市高月町唐川)

腕が取れてしまった姿がまたイイ。人々を守るために、ロケットパンチを打ち尽くして、満身創痍でも凛として立ち尽くす姿が、じつにドラマチックなのです。

こうした重要文化財の像ですが、京都奈良の仏像と異なるのは、一般の、村人町人さんたちによって守られているということ。
発表会にも、地元の管理役の人がいらしてました。

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「観音は家族のよう」と住民の津田さん

ここの観音さんは、地元密着型なんですよね。
京都奈良の仏像は、巨大寺院による国家鎮護、朝廷の政治と深く関わってきたんですが、ここの観音さんはぼくら一般人が親しみやすい。
現地での拝観も、電話して地元のおばあちゃんに扉を開けてもらう形ですからね。地元のふれあい、旅の醍醐味ですね。

こちらの観音さんは、通称「腹帯観音」といって、安産のご利益があるとされました。

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十一面観音菩薩立像 平安時代12世紀 大浦観音堂蔵(長浜市西浅井町大浦)

地元の人の愛情で、こんなにきれいな冠までつけられて幸せそうに見えます。
おなかの帯に絵や願文が刷られてますが、その版木は元禄時代のものを今も大切に使ってるんだって!

これまで仏像展というと、天皇だの朝廷だの藤原氏だの、殿上人の世界がメインだったんですけど、今回は視点がぼくらに近いわけです。
それでいて、南都(奈良)仏師の影響を受けた、高度で本格的な造形だし、時代も奈良平安期にさかのぼる貴重な古仏だという点がすごいのです。
これだけ貴重な古仏が、村のお堂にふつうに存在していて、現役で拝まれてるんですからね。

そんなわけで、見ごたえある展示になりそうです。期待しましょう。

ここで告知なんですけど、私が同行する仏像ツアーもあるので、ぜひ一緒に行きませんか?
比較対象として都内の十一面観音を拝観して(これがまたすごい。高さ10Mの一木造り!)、事前講座を聞いてからいざ展示へ、というツアーです。
ただ見に行くより、より深く展示内容がわかりますよ!
   ↓↓
仏像ナビゲーター宮澤やすみ講師同行!
【都内の仏像ウォッチングと 「観音の里の祈りとくらし」展】
ページ下部のカレンダー「受付中」をクリックすると申し込みできます

 
「東京芸術大学美術館のサイト
 
posted by 宮澤やすみ at 23:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展・展覧会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする