2010年04月18日

東京和菓子遺産:「いせや」高田馬場

前回に続き、和菓子の映画撮影。第2日目のこと。

高田馬場にある「いせや」さんに出向き、作りを取材しました。

今回は、和菓子の撮影をしたいというアメリカ人映画監督にいせやを紹介したのですが、予想通りものすごくお気に入りのようでした。

いせやさんは、お父さんとお母さん、息子の3人だけでやっていて、古きよきたたずまいがとても和むお店です。

高田馬場 いせや
できたてが目の前に・・・


お菓子のラインナップは、豆大福にどら焼きにみたらし団子、すあま、のり巻きいなり寿司も出す、まさに直球ど真ん中の庶民派和菓子路線なのです。

しかし、ひとつひとつの和菓子のレベルは、おそろしいほどに高いんですよ。

私が以前『dancyu(ダンチュウ)』の草もち特集を書いたのは、ここの草もちを食べて衝撃をうけたからなんです。ホントに。


高田馬場 いせや
きっかけはこの草もち


まず、草もちのヨモギの香りのよさ。濃く深い緑。絶妙な弾力となめらかな口どけ。そんな主張する餅に対して、中のつぶあんも存在感たっぷり。
小豆の風味と甘みの融合が、「これ以上でもこれ以下でもダメ」という絶妙なバランスで成り立っていて、しっかり甘いのに決してくどくなく、小豆の風味も豊かで、草もち全体のおいしさを底上げしています。

がぶりとひと口いけば、霧深い森林を歩くような、深遠な思索の旅に誘ってくれる・・・。

そんな詩的な思いもつかの間、あまりのおいしさに猛然とかぶりついて、あっというまに食べちゃうんだけどね。


さてこの日の撮影ですが、朝の作りを見学させてもらいました。

高田馬場 いせや
豆大福は3人がかりで作る


家族3人が連携し、時には個別に仕事をし、みるみるうちにさまざまなお菓子ができあがってきます。

お父さんが石臼で餅をついている間に、息子はみたらし団子のタレを煮て、お母さんは柏餅の中にみそあんをくるんでいたり。

高田馬場 いせや
お母さんが餅にあんをくるんで・・・、
高田馬場 いせや
お父さんがふかしあげる。柏餅ができあがり。


つぎつぎにお菓子ができる様は魔法のよう。


ところで、巷にある有名人気の和菓子屋さんは、社用に用いる大会社が近くにあったり、観光名所にあったりと、立地条件も見逃せません。

「いせや」が高田馬場でなく、上野や銀座にあったら、絶対に行列の店になっているはずなんですけどね。
いまひとつ和菓子好きの皆さんに知られていないのが本当に残念。

あまり大げさな文句は書かないこのブログですが、今回は言わせてもらいます。

「いせや」の菓子のためだけに、高田馬場に来る価値あり

菓子のレベルの高さはもちろんだけど、いせやさんが醸し出す、あったか〜い雰囲気というのがいいんです。
シャイなお父さんと、人懐っこい息子さんと、それを笑顔で見守るお母さんと、家族3人の人柄が味になっているようで。

忘れかけていた人情とか人のふれあいとかを思い出し、なんだか感動して泣きそうになっちゃうんですよ。

町の人が立ち寄って、「もう柏餅の季節だね」なんて世間話をして、子供のおやつに、仲間内でのお茶菓子に買っていく、なんてことない日常のひとコマ。これが都心では貴重になりました。
(京都では「おまんやさん」の文化が根づいているのですが、東京ではなかなか・・・)

今どき、商店街の一角で自動ドアもなく、こぢんまりと100円台の餅を作って販売するお店なんて、貴重ですよ。

これは、もはや守るべき「文化財」でしょう。

何百年前の神社仏閣も大切だけど、「いせや」のような昭和の遺産こそ、ぼくらがリアルタイムで守っていける文化遺産なのかもしれません。

そこで、私は、こうした今にも消えそうな和菓子屋のたたずまいと味を「東京和菓子遺産」と名づけてみました。

東京和菓子遺産のおもな特徴は:

●餅菓子、団子などの庶民的な和菓子を扱っている
●お菓子はすべて自家製(あられ、煎餅などは除く)
●家族経営が主体
●自動ドアがなく路面むきだしの店構えが望ましい

といったところでしょうか(今後追加変更もあると思います)。

現時点でぱっと思いつくのは、高田馬場の「いせや」、麻布十番の「京あづま」、高輪の「松島屋」なんてとこでしょうか。

この景観、この味を遺すためにも、ぜひ足を運んでみてほしいなあ。


いせや
東京都高田馬場3-3-9
(山手線の外側 高田馬場西商店街の右側です)
高田馬場 いせや



高田馬場 いせや


関連記事:
 映画に出演しました 和菓子撮影初日のはなし
 

タグ:和菓子 東京
posted by 宮澤やすみ at 16:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 和菓子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月17日

映画に出演しました

じつは今、ある映画作りに関わっています。アメリカ映画。
先日監督が来日し、都内で撮影があって、なぜか自分も出演することに。
「茶室で和菓子を食べる男」の役です。


P1000807s.jpg
監督自ら撮影。「茶室ではジーパン以外で」との指
定に、なぜかバングラデシュの民族衣装でやってきた監督。
彼女なりのアジアへの敬意、と受け取りましょう(^_^;)


これは、世界のお菓子を題材にしたドキュメンタリー映画です。
和菓子が大きくクローズアップされるので、ぼくが店選びなどの監修をさせてもらってました。

それが急遽、茶室のシーンで出演もやることになったんですよ。
着物が着られるから重宝したんでしょう。

表千家の先生に指導をうけつつ、お菓子と抹茶をちょうだいしましたよ。

ロサンゼルスからやってきた監督のAlexis Krasilovskyさんは、ドキュメンタリー映画の世界では超ベテランで、数々の受賞歴もある方だそうです。マイケル・ムーアの大先輩って感じだね。

夜には銀座「萬年堂」さんにおじゃまし取材。インタビュアーもやったり、カメラの前で菓子作りの体験もさせてもらいました。低予算の映画なので使える人はなんでも使う、というスタンスなんですよ。


P1000873s.jpg
想像以上にむずかしかった!でも、
「全く初めてでここまでできるのはすごい」
 と、ほめていただきました


自分にできることならなんでもやりますが、今回はなんと、音楽作りも私が担当することにっ!
もちろん三味線でね。

打ち合わせでイメージを固めたので、これからじっくり取り掛かりますぞ。

#オレ、本業がなんなのかいよいよわからなくなってきた(笑)

日本での公開予定は「まず無い」そうですが、どこかで観られるチャンスがあるといいね。DVDでも出ればいいんだけど。

この日は茶の湯と上生菓子の世界でしたが、翌日は庶民派和菓子の世界を取材。

その様子はこの後の記事で。→記事アップしました

関連記事:
 東京和菓子遺産:「いせや」高田馬場
 



タグ:和菓子
posted by 宮澤やすみ at 22:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 和菓子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月10日

空也のおしるこ

銀座、「空也」の空也もなか。

予約すら大変なことで知られますが、まずなにより、すんごいおいしい。

しおりを読むと、日が経った最中はお碗に入れて湯を注ぎ、即席しるこにしてもよし、とある。

そんなの、もったいなくてできないよっ

と、思っていたのですが、ついに実行してしまいました。
禁断の「空也しるこ」、初体験。

空也もなかをおしるこに
お碗に入れて、

空也の最中
湯をそそぐと皮がフニャリ

銀座・空也最中をおしるこに
あぁぁ・・・た、たまらん


ほどよい甘さのあんこが、見事に上品なおしるこになりました。
藤色に光る濃厚な小豆スープ。甘美な甘さに幻惑されます。

そして、皮が最高!
空也もなかの皮はガッシリした作りなので、お湯にも溶けず形を留める。

食感は、まさに「ちゅるちゅる」という感じ。

ワンタンほどぺっとりしないし、ラザニアほどへたってない。

やわらかいけど、しっかり弾力がある。

もともとお餅ですからね。

しっとりした柔肌が、唇をやさしく「ちゅるん」とくすぐって口へ。香ばしさを楽しみながらモニョモニョ噛んで、しるこをひと口。官能的な甘さが広がる。

人目を忍んで、昼下がりの情事・・・

なんか、いけないことしてる気分なんだよね。

こりゃハマりました。またやろうっと。

ちなみに、最中2個ではちと薄いです。やはり4〜5個は使ったほうがよさそう。


 

posted by 宮澤やすみ at 17:26 | Comment(1) | TrackBack(0) | 和菓子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月19日

夏の和菓子でひとやすみ

連続の舞台を終えまして、ホッとひといき。

写真は6月の和菓子「水無月」です。

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夏越祓にあわせて食べた雅な伝統菓子で、白いういろう生地は氷を表し、小豆は魔よけの意味があるそうです。

六本木でランチ会合があったあと、麻布十番までふらっと歩いて、お気に入りの「京あづま」さんでゲットしてきました。
いかにも「京あづま」らしい、はんなりとやさしいお味です。

次の舞台は7月9日。今日からまた準備に入ります。

そのほか、いろんな企画の打ち合わせがつづく。このうちどれだけ実現するかな。


関連記事:
 はんなり豆大福 京あづまは豆大福もうまいです
 

タグ:和菓子
posted by 宮澤やすみ at 11:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 和菓子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月15日

初日盛況:アートと和菓子イベント

私の個展「和菓子と墨のおやすみ処」初日から盛況です。
夜のパーティ、想定外の大人数にお越しいただき、大大大盛況!
こんなに来てくれるなんて! 幸せでございます。めげずにがんばってよかった!みんなありがとうございました!

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夢のオールスター勢ぞろい。まずありえないね


和菓子カフェは、12時オープンから「空也」の和菓子を求めて来た人も。
やはり画像で出してる「五彩饅頭」が人気で、しかも数が少なく、残りあと数個です。
おそらく明日16日でなくなると思われます。
でも、ほかの珠玉の和菓子があるから大丈夫!

行き方は、地下鉄東西線、神楽坂駅1番出口を出て、神楽坂通りを下ります。

すると、左側にこんな看板が出ているのでそれが目印。
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引き戸をガラガラと開けて、お入りください。
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書作品展示エリアの奥は、著書のコーナー。ぱらぱら読んで、気に入ったらお買い求めくださいまし。
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さらに、16(土)、17(日)は、午後3時から、小唄&三味線つまびき体験コーナーがあります。
演奏会じゃなくて、「小唄ってなに?」とか「長唄や津軽三味線とのちがい」などを、実演を交えながらまったり話す感じ。
実際に三味線を持って、弾いていただくこともできます。

お気軽にご参加を。
お待ちしてまーす。


posted by 宮澤やすみ at 23:19 | Comment(2) | TrackBack(0) | 和菓子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする